FXのトレードスタイル

スキャルピングとは

FXでも株式でも、トレードの花形といえばスキャルピングやデイトレードではないでしょうか。

取引画面上を次から次へと流れるニュース。目まぐるしく変動する為替レート。それらを見ながらチャンスを待つトレーダー。そして、チャンスと見れば取引を開始します。



スキャルピングの特徴

スキャルピングの特徴を考える場合、比較対象があると分かりやすいです。そこで、デイトレードやスイングトレードなどと比較しながら考えましょう。

スキャルピングをしている割合

最初に、実際にスキャルピングをしている人の割合はどれくらいだろう?というのを確認しましょう。

下は、一般社団法人金融先物取引業協会が2018年に実施したアンケート調査の結果です(有効回答数:1,000)。

FXの投資方針

FXの投資方針グラフ

FXの投資方針を見ますと、およそ半数の人が「値幅による利益重視であり短期間決済」を選択しています。

すなわち、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードあたりとなります。

では、ポジションを保有している期間はどれくらい?という質問に対する回答は、以下の通りです。

新規建玉の平均保有期間

FXの新規建玉の平均保有期間

スキャルピングは、「1分未満」と「1分以上~10分未満」の合計ですから、6.8%となります。スキャルピングは目立ちますが、実行している人の割合は小さいと言えそうです。

デイトレードを含めて考えますと、全体の3分の1くらいになります。

ポジション保有期間

スキャルピングもデイトレードもポジション保有期間が短いですが、その長さが大きく異なります。

デイトレードは、営業日が切り替わる前に決済する取引を言います。

このため、日本時間の朝7時過ぎに取引を開始して、20時間後に決済してもデイトレードといいます。また、取引開始から5分後に決済してもデイトレードです。

デイトレードといっても、その時間的範囲は比較的広いことが分かります。

一方、スキャルピングの場合は、早ければ数秒で取引を終了(決済)するかもしれません。10分もポジションを維持することは少ないでしょう。

それくらい、スキャルピングは取引開始と終了の時間が短い取引になります。このため、スワップポイントを考慮する必要がありません。

スキャルピングの概念図

瞬発力と決断力

皆様は、インターネットでゲームをしますでしょうか。

スキャルピングは、シューティングゲームやアクションゲームの雰囲気があるかもしれません。

敵の弾が自分に向かって飛んでくるとき、「弾がこっちに来ているなあ。さて、どうしよう。」なんて考えていると、その間に弾が当たってアウトです。あるいは、敵が怯んだとあれば、即座に攻撃に転じる判断も必要です。

一方、シミュレーションゲームの場合は、相手の弾が自分に向かって飛んできても、次にどうするかを考える時間がたっぷりあります。

FXでいえば、スイングトレードやポジショントレードのようなイメージでしょう。

スキャルピングでは、Aという状況になったらBをしよう、CになったらDをしようと決めておき、あとは相場の流れに従って行動します。

相場は事前の想定通りに動いてくれませんから、想定すべき行動パターンは数多くなるかもしれません。

しかし、アクションゲームのように、体が覚えていて勝手に反応するという状態にすれば大丈夫です。

取引回数

スイングトレードやポジショントレードの場合、1週間に1度も取引できないという場合があるかもしれません。しかし、スキャルピングだったら、1日に何度でも取引できるでしょう。

というのは、スキャルピングは、取引の開始から終了までの時間がとても短いからです。

仮に、10秒間で1回のトレードが終了するとしましょう。1時間を秒で表現すると3,600秒ですから、3,600秒のうちに10秒間のトレード機会は何度でもやってきそうな気がします。

一方、ポジショントレードの場合、取引期間は数か月にも及ぶ場合があります。そのようなトレードは、1か月のうちに何度取引チャンスがやってくるでしょうか。

スキャルピングに比べれば、圧倒的に取引機会は少ないでしょう。

スキャルピングのメリット

以上の特徴から、スキャルピングのメリットが見えてきます。

メリット:働いていても、毎日のように取引可能

現代社会では、仕事の内容も様々です。このため、自由にできる時間は夜だとは限りません。昼だという場合も、夕刻だという場合もあるでしょう。

スキャルピングの場合、早朝でなければ毎日取引可能というメリットがあります。「今1時間あるから、ちょっとチャートを見て取引してみるかな」という軽い感じの取引も可能です。

そんなに簡単に勝てないというのは事実でしょうが、相場に自分の行動を合わせるのではなく、自分の生活を基準にしてトレードすることができるのは、メリットになるでしょう。

なお、早朝のスキャルピングが難しい理由ですが、スプレッドが広くなりがちだからです。

全世界で取引数量が少ない時間帯となりますので、これは仕方ありません。早朝時間帯を避けつつチャートを眺めます。

(ただし、月曜日早朝の窓など、特定の場合にスキャルピングが可能な場合もあります。)

メリット:相場によっては、連戦連勝も可能

相場の読みと実際のトレードがかみ合うと、面白いように連戦連勝することがあります。これも、スキャルピングの醍醐味でしょう。

例えば、これからしばらくレンジ相場になると考えたとします。

そして、レンジの下限で買ってレンジの上限で決済し、すぐに新規で売って、レンジの下限で決済するという取引を繰り返すとします。

スキャルピングですから、そのレンジ相場は長時間続くというわけではありません。しかし、短い時間で連戦連勝することも可能です。

逆に、自分の相場観と実際のチャート形状がどうしても合わない場合もあるでしょう。この場合は一休みします。「休むも相場」です。

スキャルピングのデメリットと対応策

大きな魅力を持っているスキャルピングですが、デメリットもあります。そこで、その内容を確認するとともに、対策を考えましょう。

デメリット1:瞬発力が必要

スキャルピングには、スピードが必要です。

スピードが必要な場面例1チャートの読解力

チャートは1分足、5分足などを中心に使います。チャートを眺めていると、トレードチャンスがやってきます。

しかし、瞬時にチャートを判断する能力がなければ、トレードチャンスかどうかを理解するのは難しいです。

チャートを読めなければ、勘に頼ることになります。勘というのは頼りないもので、勘に頼ってばかりいると負けてしまいます。

スピードが必要な場面例2トレードチャンスでの取引

チャートを見ていたら、トレードチャンスが来たとします。しかし、自分が知っている最高の形からは少しズレがあったとします。このようなことは日常茶飯事でしょう。

さて、その時にトレードをしますか?それとも見送りますか?

「どうしようかなあ」と、のんびり考えていては間に合いません。その場で瞬間的に決断を下して実行する必要があります。

「何もしない」というのも立派な決断ですが、何もしないというのを繰り返すのは、大変なことでしょう。

というのは、トレードをするためにチャートを眺めているのに、トレードをしないという決断を下してばかりいては取引できないからです。

これは、決済して取引を終了させる場合も同様でしょう。そして、決済は取引開始よりも難しいかもしれません。

取引を開始する場合は、嫌だったらトレードしなければOKです。しかし、決済の場面ではそうはいきません。すでにポジションを持っていますから、どこかで必ず決済しなければなりません。

しかも、刻一刻と損益が増減する中で判断する必要があります。適当に取引していると、感情に振り回されてしまって疲れてしまいます。

デメリット2:長時間拘束される

以上の通り、スキャルピングは瞬発力が必要です。しかし、チャートを眺める時間が長くなりがちだというデメリットもあります。

というのは、トレードチャンスがいつやってくるか分からないからです。

いつやってくるか不明ならば、その時に備えてチャートの前で待つしかありません。トレードチャンスは一瞬ですから、特定のパターンが出たらメールで送信してもらうというシステムでは間に合わないでしょう。

そして、ただ待つというわけではありません。チャンスが来たら即座に取引できる精神状態で待つのです。

これは、とても疲れることでしょう。

デメリット3:感情のコントロールが難しいかもしれない

感情のコントロールは、トレードで利食いを繰り返している状況でも、負けが続く状況でも難しいものです。

利食いを繰り返しているとき損失に対する用心が不足する

気分が高揚していることでしょう。この時点で、すでに感情をコントロールできていません。

連続して利食いを繰り返すと気分が大きくなり、いつもなら取引しないチャート形状でも売買してしまったり、いつもより大きな金額でトレードしたりするかもしれません。

それでもしばらくは成功するかもしれませんが、どこかでドカンと大きな損失になってしまうかもしれません。

損切りを繰り返しているとき勝ちたい気持ちが先行すると・・・

気分が落ち込むか、あるいは、熱くなるか。いずれにしても、いつもの冷静さはありません。「次は勝ってやる!」と気合が入ってしまうと、無理なトレードをしてしまうかもしれません。

こういうとき、なぜか往々にして負けてしまうものです。

損益がトントンのときコツコツ・ドカン!に要注意

感情が乱されるのは、勝ち負けがはっきりしているときだけではありません。損益がトントンの場合もそうです。

というのは、スキャルピングをするために時間を使い、精神力も使っています。

本業の仕事や学業が別にあるという場合が大半でしょうから、仕事などで疲れた後にスキャルピングをするのは、体力的にも大変な場合があるでしょう。

そんな中で取引したのに、損益はトントン。それならアルバイトをした方がいいぞ!というわけで、大きな勝負に出てしまって撃沈。

こんな場合もあるかもしれません。

デメリットへの対策

では、このようなデメリットを回避したり緩和したりするには、どうしたら良いでしょうか。対策を考えましょう。

取引ルールを作り、守る作戦通りにトレードする意味

具体的なルールを、あらかじめ決めておきます。そして、それを守ります。

  1. どの時間帯にトレードするか
  2. どのチャート形状でトレードするか
  3. 何通貨トレードするか
  4. どこまで勝ったら(負けたら)、その日のトレードをやめるか

ダラダラと長時間トレードしてしまうのを避け、トレードのルールに従って淡々と取引します。文字にするとかなり簡単ですが、実行するのは簡単ではありません。

そこで、自分の生活リズムを振り返ります。すると、スキャルピングができる時間が自然に決まってきます。

次に、その時間の値動きの特徴を調べたり、その値動きにフィットしそうなトレード手法を考えたりします。

こうして少しずつ選択肢を狭くしていくと、最終的に自分の形が見えてくる可能性があります。自分の形が見えたら、後は実践あるのみです。

経験値も必要ですから、とりあえずトレードしながら考えるというのも良いでしょう。

スキャルピングに向いた時間帯と値動きの特徴

ここでは、スキャルピングで取引しやすい時間帯について考察します。上記した取引ルールのうち「どの時間帯にトレードするか」にも関連性があります。

また、ある時間帯には「値動きの傾向」がありますので、相場の特徴やパターンとして捉えておくと、スキャルピングに有効活用できる可能性があります。

毎週月曜日の早朝(午前7時)

下図は、金曜日終値に比べて翌週月曜日は円高で始まっている様子を表現しています。この為替レートのギャップを窓と呼んでいます。

月曜日朝の相場の特徴

金曜日終値と翌週月曜日始値の間に差があるとき、月曜日の為替レートは金曜日終値の方向に向かって進みやすいという傾向を見越してトレードします。

このトレード方法を「窓のトレード」と言います。

なお、具体的なトレード方法につきましては、別記事「FXの窓埋めトレードの時刻,出現確率,取引手順」にて解説していますので、ご参照ください。

日本時間の午前中、お昼

日本時間午前中の値動きを一言で表現するならば、「値動きが小さい」ではないでしょうか。値動きの小ささはデータにも表れています(別記事「米ドル/円(USD/JPY)の特徴」をご覧ください)。

具体的には、午前6時を中心にした時間帯と、昼12時を中心とした時間帯です。

値動きが小さいということはすなわち、値動きの範囲が小さなレンジ相場ができやすいのでは?と考えられます。

そこで、これらの時間帯の値動きの特徴をさらに調査して、スキャルピングに結び付けられる可能性があります。

欧州勢が参入する時間帯

欧州勢が参入する時間は、大雑把にいえば日本時間午後4時くらいです。日本時間の朝から昼にかけては値動きが小さいことが少なくないのですが、欧州勢が参入するといきなり大きく動くことがあります。

そのパターンを見極めることにより、スキャルピングに結び付けられる可能性があります。具体的には、以下のパターンがあります。

欧州勢が参入する時間帯の特徴

オレンジの線は為替レートの動きです。日本時間はダラダラと値動きが小さいのですが、欧州勢が参入するころにいきなり動意付くことが少なくありません。上の図では円安方向に動いています。

そして、そのまま円安に突き進むかと思いきや、いきなり反転して円高になっている様子です。

いつもこのパターンになるというわけではありませんが、散見されるパターンです。よって、これを利用して、取引開始タイミングや決済タイミングを研究できるかもしれません。

米国勢が参入する時間帯

仕事の都合により、この時間帯の取引が最もやりやすいという場合は少なくないでしょう。

米国勢が参入する時間とは、具体的には午後10時を中心とするあたりです。値動きが比較的大きい時間帯ですから、スキャルピングの醍醐味を味わえるでしょう。

ただし、米雇用統計発表時刻などは要注意です。

チャート分析を無視するような大きな値動きが発生する場合がありますから、事前に指標発表時刻をしっかりと確認しておきましょう。

あるいは、米雇用統計発表や各国の政策金利発表をあえて狙ってトレードするという方法もあるかもしれません。

指標発表時はスプレッドが比較的広くなりやすいですから、利食いできたはずがスプレッドのおかげで負けていたということがないように気を付けましょう。

スキャルピングの手法・コツ

スキャルピングの手法はいくつもありますが、ここでは、実際にスキャルピングで利食いを繰り返している人の手法をご案内します。

当サイト運営者は、彼が実際に取引する様子を見て、リアル口座の取引履歴も確認しました。1か月に資金を2倍以上にし、大きな成功を収めています。

この手法は、スキャルピングもデイトレードもできるという方法です。スキャルピングは、1分足を使います。それを5分足にすれば、デイトレードです。

この手法をマスターすると、スキャルピングとデイトレードの両方で利食いを繰り返せることになります。

では、この手法について、ご案内しましょう。

トレンドフォロー

この手法は、いわゆるトレンドフォローです。裁量トレードを大きく2つに分けると、以下の通りになります。

トレンドフォロー

相場の流れに沿って取引します。すなわち、相場が上昇トレンドなら買いますし、下落トレンドなら売ります。

逆張り

相場の流れと反対側に買います。すなわち、相場が上昇トレンドの時、反落を狙って売ります。逆に、下落トレンドなら、反発を狙って買います。

1分足の場合、値動きが激しいです。トレンドに乗る取引をしても、すぐに値動きが反転します。また、逆張りを狙っても、期待通りにならず、トレンド相場になってしまいます。

では、どうしましょうか。この手法の場合、トレンドフォローで大きな利食いを狙います。

スキャルピングなのに、大きな利幅を狙うのが特徴です。目安としては、10pipsから30pipsくらいです。最大で50pipsを取ることもあります。

当サイト運営スタッフが、実際にこの手法でスキャルピングに挑戦していますが、良い成績を残しています。その時のトレード結果が下図の1分足チャートです。

1分足のスキャルピング図

1分足のスキャルピングでこのような大きな利幅を狙うコツは、トレンドフォローでトレードすることです。

マルチタイムフレーム

では、1分足でトレンドに乗るにはどうすれば良いか?です。この問題を解決するのが、マルチタイムフレームです。

マルチタイムフレームとは、複数の時間軸のチャートを使う取引です。

具体的には、以下の3つのチャートを使います。

  1. 1時間足
  2. 5分足
  3. 1分足

1時間足チャート

イメージで考えましょう。例えば、1時間足が以下のように動いているとします。上昇トレンドです。

トレンドの確認イメージ

実際には、こんなに分かりやすく動くことは、滅多にありません。細かく上下動しながら動いていきます。

とはいえ、上のチャートの赤丸部分は、明らかに上昇トレンドだと分かります。ならば、その時点でスキャルピングをする場合、常に上昇を狙えば良いのでは?という話になります。

5分足チャート

トマルチタイムフレームのイメージ

次に、5分足チャートを見ます。下の通りです。1時間足が上昇トレンドだといっても、5分足も常に上昇しているというわけではありません。下落したりレンジになったりします。

しかし、1時間足で上昇トレンドだということは、5分足でもそのうち上昇トレンドになるでしょう。5分足チャートの赤丸は、上昇トレンドになった場面を描いています。

この時に取引を検討します。

1分足チャート

そして最後に、1分足で取引チャンスを狙います。買っても良いという場面になったら買いです。

トマルチタイムフレームのイメージ

マルチタイムフレームのメリット

マルチタイムフレームを使うと、次のメリットがあります。

1分足だけれど、トレンドが分かる

1分足チャートだけ見ていると、トレンドが分かりません。しかも、細かい上下動がずっと続きます。

チャートを見ていると、疲れてしまいます。

ところが、1時間足や5分足で上昇トレンドだと確認できていれば、1分足も上昇トレンドになるだろうと分かります。

「上か下か、どちらか分からない」でなく、「上昇に注目しよう」「下落に注目しよう」と判断できるのは、メリットがとても大きいです。

大きな利食いを狙える

取引するのは、1分足チャートです。しかし、トレンド把握は1時間足や5分足です。すなわち、こんなことが可能になります。

  • 利食い位置:1時間足や5分足を考慮に入れる
  • 損切り位置:1分足で考える

すなわち、利食い幅は大きく、損切り幅は小さくできます。だから、スキャルピングなのに10pipsから30pipsという大きな利幅を狙えます。場合によっては50pipsを狙えるという理由も、ここにあります。

なお、このスキャルピング手法に利用するインジケーターやトレード手順などの詳しい内容については、別記事「デイスキャFX【スキャルピング専用】」をご参照ください。

FX口座の選択も重要

とりあえずトレードしてみようという場合、問題になるのがFX会社です。と言いますのは、スキャルピングができるFX会社は少ないからです。

そこで、スキャルピングがNGな理由や、スキャルピングができるFX会社について、別記事「スキャルピングOKのFX口座、NGのFX口座」でご案内しておりますので、参考にして下さい。

  • この記事を書いた人

【編集部スタッフ】

2007年からFXビギナーズを運営しながら、トレードの腕を磨いています。強者トレーダーを師と仰ぎ、日々トレーダーの道を邁進中。

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