少額資金でFXができる大金の投入に抵抗を感じる場合は
従来、FXの取引通貨単位は10万通貨単位が通常でした。その後、個人投資家向けにミニ取引(1万通貨)が一般化しました。
さらに少ない証拠金から始められるように、1000通貨単位からで取引できるFX会社も登場しました。今では、1000通貨単位から取引できるFX業者が多数あります。
では、1000通貨単位で運用すると、どのようなメリットがあるかを確認していきましょう。
1000通貨単位で運用するメリット
まず、1,000通貨とは何か?から確認しましょう。
1通貨は、1米ドルや1ユーロなどを指します。よって、1000通貨とは、1000米ドルや1000ユーロなどです。
米ドルやユーロだけでなく、世界には様々な通貨がありますから、一言で表現するために「1000通貨」と呼んでいます。
さて、本題に行きましょう。1000通貨単位から始められるメリットは、以下の通りです。
- 少額資金・低レバレッジで、リスクを抑えて運用できる
- 少額資金・高レバレッジで、損しても少額で済むようにできる
- ある程度まとまった金額を用意して、低レバレッジで長く運用できる
- 1000通貨だから、細かなポジション調整(買増し等)が可能
といったように、少ない資金でも運用方法の選択肢が広がります。
「最初から大金を積むには自信がない。だけど徐々にFXに慣れていきたい」という場合、1000通貨から始めるのが候補になります。
証拠金とレバレッジの関係
「少ない資金で」とはいえ、ある程度の資金は必要です。
資金が少なすぎるとレバレッジが高くなり、多ければレバレッジが低くなります。初心者の方は、そうした数字的な感覚を早めに身につけておきましょう。
入金額を決めたら、取引数量とその時のレバレッジを簡単に算出できます。大まかにですが、以下に証拠金の例をあげ、取引金額とレバレッジを算出します。
レバレッジの算出例
- 取引数量:1Lot(1000通貨)
- 為替レート:1ドル=100円
- 取引金額=Lot数×為替レート(100円)
- レバレッジ=取引金額÷証拠金額
取引数量 (取引金額) |
証拠金額とレバレッジ | ||||
---|---|---|---|---|---|
1万円 | 5万円 | 10万円 | 50万円 | 100万円 | |
1lot(10万円) | 10倍 | 2倍 | 1倍 | 0.2倍 | 0.1倍 |
2lot(20万円) | 20倍 | 4倍 | 2倍 | 0.4倍 | 0.2倍 |
3lot(30万円) | - | 6倍 | 3倍 | 0.6倍 | 0.3倍 |
5lot(50万円) | - | 10倍 | 5倍 | 1倍 | 0.5倍 |
10lot(100万円) | - | 20倍 | 10倍 | 2倍 | 1倍 |
※ 表中の「ー」は、レバレッジが25倍以上になる場合です。
※レバレッジは、最大25倍までと規制されています。
為替変動による損益計算(1000通貨の例)
さて、証拠金とレバレッジの関係の次は、為替変動と損益の計算です。
為替がどれだけ動いたらいくら利益が出るのか、いくら損失が出るのかとうのは、金額の大小に関係なく気になるところです。
損益計算の方法は簡単ですので、以下に例をあげて、利益額の計算をします。
利益がでる場合の計算例
- 取引数量:1Lot(1000通貨)
- 為替レート:1ドル=100円
- 利幅:10銭(0.1円)
- 利益額=取引数量×利幅=100円
ちなみに、「pips」で計算したいという場合は、別記事「1pipsとは、いくら(何円)でしょう-使用例と計算例」でご確認ください。
上のレバレッジ計算で使った取引金額に対して、為替変動を想定した損益計算を、おおまかにしてみましょう。
また、計算例は相場が上昇して利益が出る場合においての数値ですが、逆に相場が下落した場合の損失額は、上昇した場合の額と同様の損失が出ます。
取引数量 (取引金額) |
値動きと損益額 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1銭上昇 | 5銭上昇 | 10銭上昇 | 50銭上昇 | 1円上昇 | |
1lot(10万円) | 10円 | 50円 | 100円 | 500円 | 1,000円 |
2lot(20万円) | 20円 | 100円 | 200円 | 1,000円 | 2,000円 |
3lot(30万円) | 30円 | 150円 | 300円 | 1,500円 | 3,000円 |
5lot(50万円) | 50円 | 250円 | 5100円 | 2,500円 | 5,000円 |
10lot(100万円) | 100円 | 500円 | 1,000円 | 5,000円 | 1万円 |
収益の扱い方
次に、トレードで得た収益をどのように扱うかを考えます。
証拠金として口座に入れておく
この場合、口座残高が徐々に大きくなります。すなわち、同じ取引数量で売買を繰り返すと、レバレッジは小さくなっていきます。
同じ取引をしているのに、安全度は高くなるという関係です。
出金して使う
FXでお金を増やす理由は、何かに使いたいからでしょう。将来の備えという部分もあるでしょうが、最終的には何かに使います。
よって、出金するのも良いでしょう。
複利運用
獲得した資金を投資元本に加えて、徐々に取引数量を大きくしていく方法です。
1000通貨単位の取引の場合、1万通貨に比べて複利運用がしやすいです。そこで、スワップポイントを例にして複利運用を考察しましょう。
スワップポイントの複利運用
スワップポイント狙いでポジションを持つと、毎日のようにスワップポイントをもらえます。
そのスワップポイントを使って、さらにポジションを作ります。すると、お金がお金を作るという状態の繰り返しになります。いわゆる「雪だるま式」です。
大きめの資金を投入して運用する場合、複利運用に必要な資金(スワップ益)を比較的早期に蓄積できます。
下の計算は、複利運用をするために必要な日数を算出しています。
スワップポイントの複利計算例
算出条件
-
- 購入通貨:1ドル=100円を3万通貨
- 証拠金:100万円
- スワップ金利:150円/日(※)
- レバレッジ:3倍
※FX会社が提示する実際の数値とは異なります。
1000通貨で買い増しする場合
- 買い増し費用:1000通貨×100円÷3(レバレッジ)=33,333円
- 受取スワップ:150円×3(レバレッジ)=450円
- 買い増しに必要な日数:33,333円÷450円=74日
1万通貨で買い増しする場合
-
買い増し費用:1万通貨×100円÷3(レバレッジ)=333,333円
- 受取スワップ:150円×3(レバレッジ)=450円
- 買い増しに必要な日数:333,333円÷450円=740日
1万通貨単位で取引可能なFX業者と、1,000通貨で取引可能なFX業者を比較すると、複利運用をするために必要な金額が、圧倒的に違います。
よって、日数も変わってきます。
1万通貨単位のFX業者でも、複利運用に支障がない場合があります。例えば、初期投入額が数百万円以上の場合です。
最初に保有するポジション数を10万通貨、20万通貨と大きくすれば、複利運用しやすいでしょう。
しかし、証拠金として大きな額を投入できない場合は、1000通貨で取引できるFX業者を使うほうが安全です。
1000通貨からスタートするトレード
FXを始める場合、デモトレードから始めるという選択肢があります。しかし、面白くないかもしれません。
なぜなら、利食いしても損切りしても、自分のお金は1円も変動しないからです。この場合、本気で取引できないです。本気でできなければ、技術も上達しないでしょう。
しかし、1万通貨で取引すると、いきなり大損から始まってしまうかもしれません。それも避けたいです。
1000通貨ならスキャルピングでも安心
こういう時、1000通貨の取引が効果的です。特に、スキャルピングです。
スキャルピングで、1回の損益を10銭に設定したとしましょう。そして、1000通貨で取引します。
- 10銭の利食い:100円の利益
- 10銭の損切り:100円の損失
損切りしても100円ですから、仮に10連敗しても、1000円です。これなら、適度な緊張感を持ちながら、FXを楽しめるでしょう。
ちなみに、1000通貨で取引すると、利食いする場合の金額も小さくなります。しかし、それは問題ありません。利食いすれば、少額とはいえ資金が増えているからです。
利食いで資金を増やせると分かったら、取引数量を増やせばOKです。
何事も、最初は小さく始めて、できると分かったら徐々に大きくするのが、成功の秘訣。成功に向けて確実に進んでいきましょう。
リピート系FXも1000通貨を基本に
また、リピート系FXも、1000通貨単位の取引が有効です。リピート系FXとは、トラリピやループイフダンに代表されるトレード手法です。
下の図をご覧ください。リピート系FXのイメージ図です。赤線は、為替レートの動きです。
注文内容は、以下の通りです。この3つの注文を、ひたすら繰り返します。
- 110円で1万通貨買い、111円で決済
- 109円で1万通貨買い、110円で決済
- 108円で1万通貨買い、109円で決済
しかし、買い注文と決済注文の間の距離が100銭のため、なかなか利食いできません。上の図のように動いてしまう例を見つけるのは、簡単でしょう。
109円で買ったのは良いですが、利食いできなくて面白くありません。
そこで、下図のように注文を変更します。「100銭ごとに買って、100銭の利幅で売る」でなく、「50銭ごとに買って、50銭の利幅で売る」です。
すると、同じ値動きでも、利食いを繰り返してくれます(赤丸部分で買って、青丸部分で利食い)。
しかし、問題があります。100銭ごとに買っていたのを50銭ごとに変更するわけですから、取引数量が2倍になってしまいます。
無尽蔵な資金があれば問題ないですが、限られた資金で取引する例が大半でしょう。すると、リスクが大きすぎます。
この場合、どうしましょうか。
注文数量を半分にすれば、大丈夫です。すなわち、1万通貨でなく、5000通貨の発注にします。こうすれば、以前と同程度のリスクで、利食い頻度を上げることができます。
ちょっとした工夫でトレード成績に差が出るのが、興味深いです。
5000通貨で売買するなら、1000通貨単位でリピート系FXができる口座を選びます。例としては、以下の通りです。
ちなみに、マネーパートナーズのFXnano口座は、100通貨単位で取引可能です。さらにきめ細かい自動売買設定をしたい場合に、候補になるでしょう。