FXとは~取引を始める前に

レバレッジのかけ方と計算方法

FXの最大の特徴は、FX会社に預け入れた証拠金(保証金)の数倍~数十倍の取引ができることです。これを『レバレッジ(leverage)』といいます。

レバレッジは「てこ」のことをいいますが、てこは、小さな力で大きな物を持ち上げることができます。

FXも少額の証拠金を元手にして、多額の取引をすることで大きなリターンを期待できます。

そこで『レバレッジとは何?』というFX初心者の方向けに、仕組みや計算方法、レバレッジをかける場合の注意点などを確認していきます。



レバレッジとは何?

FXのレバレッジ概念図

たとえば、100万円の証拠金でレバレッジ5倍の取引をすれば、500万円の取引が可能です。レバレッジ10倍ならば、取引可能額は1,000万円です。

レバレッジ効果は、多額の取引で大きな利益を狙える反面、損失も巨額になる可能性があります。

この記事を書いた2020年7月現在、日本国内におけるレバレッジの最大値は25倍です。

ここで、疑問があるかもしれません。「なぜ、自己資金よりも大きな取引ができるのか?」です。

例えば、100円のリンゴを1つ買うには、100円必要です。50円では買えません。しかし、1ドル100円で1万通貨買う場合、100万円は必要ありません。4万円で買えます(レバレッジ25倍)。

いったい、どうなっているのでしょうか。

レバレッジ取引ができる理由

これは、FXの仕組みが影響しています。FXは、「取引の最終結果が口座に反映されるだけで、途中経過は反映されない」という仕組みです。

米ドル円を買う例で確認しましょう。分かりやすくするため、1ドル=100円と仮定します。

1万ドルを買いました

すなわち、100万円分の米ドルを買いました。しかし、1万ドルは口座に入金されません。また、100万円を口座から引かれることもありません。計算上、買ったことにしただけです。

その後、1ドル110円で1万ドルを売りました

しかし、手元に実際に1万ドルを持っているわけではありません。上の1で「買ったことにした」1万ドルを売ります。

取引の結果だけ、口座に反映する

1と2の取引結果を、口座に反映します。

  • 1ドル100円で1万ドル買った・・・100万円の支払い
  • 1ドル110円で1万ドル売った・・・110万円の受取り
  • 差額の10万円が、口座残高に追加されます

取引開始から終了まで、実際に現金を動かす必要があるとしたら、レバレッジ取引はできないでしょう。

取引の最終結果だけ口座残高に反映する、という仕組みがあるから、レバレッジ取引ができます。

この仕組みを「差金決済」といいます。差金決済とは、現物のやり取りをしないで、取引の最終結果だけを残高に反映する仕組みです。

レバレッジ取引ができないとしたら

レバレッジ取引はFXの特徴ですが、仮に、レバレッジが使えないとしたらどうでしょうか。つまり、常に証拠金以下の金額で取引するということです。

この場合、FXはひどく退屈な取引になるでしょう。あるいは、大きな資金力が必要となるはずです。

これを理解するには、株式取引と比べると分かりやすいです。

株式投資の場合

例えば、株価が100円の株式があるとします。この株式ですが、1年以内に50円になったとしても、驚かないでしょう。反対に、150円~200円くらいに上昇しても、驚かないでしょう。

「大きく動いたなあ」と感じるくらいです。

と言いますのは、このような大きな値動きをするのは、株式の世界でしばしば見られるからです。この値動きを利用して、利益を狙います。

ドル円の場合

この値動きを、ドル円に当てはめてみましょう。今日のドル円は100円だとします。1年後に50円になったら、世の中は騒然としているでしょう。

経済ニュースは連日ドル円で埋め尽くされ、日本経済は円高によるダメージを受けるでしょう。

逆に、1ドル200円になっても、大騒ぎのはずです。

輸出業者にとっては、ありがたいかもしれません。しかし、物価上昇が行き過ぎたり、日本円への信頼そのものが揺らいだりするかもしれません。

為替レートの値動きは小さい

以上の例で分かることは、為替レートの動きは鈍いということです。米ドル/円の場合、1日で1円動けば、「今日はしっかり動いたなあ」と感じます。

よって、レバレッジを利かせた取引ができないと、値動きから得られる収益もわずかになります。しっかりした額を稼ごうと思うと、自己資金を大きくするしかありません。

この場合、個人投資家は、為替取引から離れていく可能性があります。

レバレッジは、使い方を間違えると大損失になります。しかし、適切に使えば、株式投資に負けない魅力的なトレード対象となります。

レバレッジの計算方法

レバレッジ計算概念図

レバレッジの計算方法は、とても簡単です。

レバレッジ=取引金額 / 証拠金

下の取引例を見ながら、レバレッジのかけ方をイメージしてみましょう。同じ取引金額でも、証拠金が小さくなると、レバレッジは大きくなります。

1万通貨の米ドル/円を取引するケース

レバレッジ1倍

・証拠金(口座資金):100万円
・取引レート:1ドル=100円
・レバレッジ=100円×1万通貨(取引金額)÷100万円=1.00(倍)

レバレッジ2倍

・証拠金(口座資金):50万円
・取引レート:1ドル=100円
・レバレッジ=100円×1万通貨(取引金額)÷50万円=2.00(倍)

レバレッジ25倍

・証拠金(口座資金):4万円
・取引レート:1ドル=100円
・レバレッジ=100円×1万通貨(取引金額)÷4万円=25.00(倍)

高すぎるレバレッジに注意

上の例3つを見ますと、少ない資金で大きな取引ができると分かります。

そこで、レバレッジを高くして取引したいのですが…あまりにも大きくかけると、破産リスクも大きくなりますので注意です。

米ドル/円=100円で1万通貨買い、その後、円高になって95円になったとしましょう。すなわち、5万円の損です。

上の例1の場合、

100万円を入金していましたので、5万円減ると、95万円です。痛いですが、まあ仕方ない、と言えるレベルでしょう。

例2の場合、

入金額は50万円ですので、45万円になります。1回の取引で10%の減少ですから、とても痛いです。しかし、何とかなるかもしれません。

さて、例3の場合はどうでしょう。

入金額は4万円で、損失は5万円です。マイナス1万円になってしまいます。これは、借金を意味します。

現実には、こうなる前にFX会社が強制的に決済します。

これを強制ロスカットと呼びますが、強制ロスカットが間に合わないほどに相場の動きが速いと、借金になります。

借金になると、返済する顧客も取り立てるFX会社も、お互いに辛いです。証拠金は十分な額を入金したいです。

レバレッジ規制の変遷

最後に、レバレッジ規制の歴史を簡潔に確認しましょう。

日本でFXが一般国民に解放されたのは、1998年です。当時はレバレッジ規制がなく、最高で数百倍の取引も可能でした。

その後、投資家保護を目的に、2010年8月から最大レバレッジは50倍になりました。さらに、2011年8月から、25倍に引き下げられました。

なお、2018年に、最大レバレッジを10倍にする動きが金融庁で見られました。結局、FX関係者の尽力もあり、最大レバレッジは25倍のまま維持されています。

年次 レバレッジ
1988年 最大数百倍
2010年8月 50倍
2011年8月 25倍
2018年 10倍を検討→25倍
  • この記事を書いた人

【編集部スタッフ】

2007年からFXビギナーズを運営しながら、トレードの腕を磨いています。強者トレーダーを師と仰ぎ、日々トレーダーの道を邁進中。

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