成行注文との違いについて「今」の為替レートで約定させる
成行注文は、価格よりも、今すぐ約定することを重視する注文方法です。このため、リアルタイムで表示される為替レートで約定します。
しかし、注文のクリックをしてから、FX業者のシステムに電気信号が届くまでのわずかな時間に為替レートが変動する場合、変動後の為替レートで約定します。
いわゆるスリッページです。
これに対し、ストリーミング注文とは、いま目に見えている為替レートで約定させる方法です。仕組みや設定方法を確認しましょう。
ストリーミング注文でスリッページが発生する場合
ストリーミング注文で発注後、FX業者で処理されるまでのごくわずかな時間に為替レートが変動する場合(スリッページが発生する場合)、以下の通りとなります。
- ユーザーにとって有利なスリッページならば、約定する
- ユーザーにとって不利なスリッページならば、約定させない
ただし、あらかじめ「許容スリッページ」を指定することができます。
これは、ユーザーにとって不利なスリッページがあったとしても、ユーザーが決めた一定範囲内ならば約定させるという設定です。
許容スリッページを設定すれば、約定拒否を減らすことができます。
スリッページ幅の設定
方向 | 提示レート(実勢値) | 発注時との差 | 約定するレート |
---|---|---|---|
不利↑ | 100.03-100.04 | 4銭 | 設定幅以上の不利なレートにより不成立 |
100.02-100.03 | 3銭 | 100円3銭で約定 | 100.01-100.02 | 2銭 | 100円2銭で約定 |
100.00-100.01 | 1銭 | 100円1銭で約定 | |
発注時 | 99.99-100.00 | 0銭 | 100円で約定 |
有利↓ | 99.98-99.99 | 1銭 | 99円99銭で約定 |
99.97-99.98 | 2銭 | 99円98銭で約定 | |
99.96-99.97 | 3銭 | 99円97銭で約定 | |
99.95-99.96 | 4銭 | 99円96銭で約定 設定幅以上の有利なレートにより成立 |
実際の取引画面の例
上の発注画面で、ドル/円(USD/JPY)の提示レートは、81.181(BID)-81.186(ASK)です。
許容できるスリッページの幅を設定(上の図では0)して、提示されているどちらかの為替レートをクリックすれば、売買成立(約定)です。
- 81.181(BID)をクリックすれば、81.181円で売りが約定
- 81.186(ASK)をクリックすれば、81.186円で買いが約定
このケースでは「許容スリップ」を0に設定していますので、81.181(BID)をクリックして売ったと同時に表示レートが81.180に変動した場合は、約定しません。
81.186(ASK)をクリックしたときに表示レートが81.187に変動した場合も、約定しません。
損切り時の注意点
急激な相場の変動によって、保有しているポジションと反対方向に動いた場合、損失を食い止めるための「ストップロス注文」をいれることがあります。
あらかじめストップロス注文をいれておく場合でしたら、そのレートに到達した時点で「逆指値注文」によって自動的に決済注文が出されるので、問題はありません。
問題となるのは、このストップロス注文を「ストリーミング」でやろうとする場合です。
相場急変時のストップロスは成行注文で!
ストリーミング注文を使って損切り決済すると、不利なスリッページが頻発するときには損切りそのものができなくなります。
そうこうしているうちに、スリッページ幅をはるかに超えて損失が膨らむ可能性があります。
多少のスベリは気にせず、成行で損切りしましょう。
「ストップロス=成行決済」となりますので、目視している為替レートと異なる数字で約定する可能性があります。しかし、約定しますので、安全度が高くなります。