トレードの豆知識

FXのナンピンは有効か?

ナンピンの考え方最強の手法といえるか?

為替レートは、いつも自分の期待通りに動くわけではありません。期待通りに動かない場合の選択肢は、主に3つです。

  1. 損切りする
  2. そのまま保有する(塩漬け)
  3. ナンピンする

教科書的に書くならば、損切りすべきでしょう。

最初に、買うか売るかを決めます。そして、損切り位置と利食い位置を決めて、取引開始です。あとは、決済注文が約定するのを待ちます。

ところが、機械みたいに行動できないのが、私たち人間の良いところであり、悪いところでもあります。損切りしたくありません。

そこで、ナンピンが登場します。



ナンピンのやり方

例えば、米ドル/円を110円で買い、1万通貨保有しているとします。そして、円高で100円になったとしましょう。含み損は10万円です。

利食いするには、10円以上の円安が必要ですが、感情としては、「利食いは不要だから、円安に復活してください!」という感じです。

そこで、米ドル/円=100円で、1万通貨を追加で買います。この結果、ポジションは以下の通りになります。

  • 110円で1万通貨買い
  • 100円で1万通貨買い
  • 合計:105円で2万通貨
110円だった購入レートは、105円に低下しました。すなわち、5円の円安が実現すれば、損益ゼロに復帰です。ナンピンしない場合は、10円の円安が必要でした。

ナンピン成功のシナリオ図

5円だけ円安になればOKという方が、実現可能性が高いです。これが、ナンピンの考え方であり、メリットです。

動き出したら止まらないのがトレンド

しかし、相場のトレンドは、一方向へ偏りやすいです。すなわち、ひとたび円高方向に勢いがついたら、そのまま円高に進む傾向があります。

上の例で、元々は1万通貨の保有でしたが、ナンピン買いした結果、2万通貨になっています。

円高トレンドで買う場合、買った後に、さらに円高になる可能性があります。実際に円高になると、とても大変です。

と言いますのは、含み損の増加速度が2倍になるからです。円高とナンピンが繰り返されると、強制ロスカットになるくらい損失が大きくなるリスクがあります。

ナンピン実行と何もしない取引の展開例

米ドル/円=110円で1万通貨を買う例につき、その後の展開を2つ見てみましょう。

米ドル/円 含み損
何もしない ナンピン実行
110円 0円 0円
100円 10万円 10万円
(追加で1万通貨購入)
90円 含み損20万円 含み損30万円

注目できるのは、米ドル/円が90円になるときです。

最初に1万通貨買って、そのまま保有する場合、含み損は20万円です。しかし、追加購入する場合は、含み損が30万円になっています。

追加で買ってからさらに円高になるとき、含み損の増加速度が2倍になったことを示します。

この例は、1回だけナンピンしています。2回、3回と繰り返すと、大変なことになると分かります。

ナンピン買いは、トレンドの転換をある程度予測できるベテランでも、難しい買い方です。FX初心者は避けた方が良さそうです。

ナンピン買いのイメージ

ナンピンは最強か、ダメなのか

では、これは禁断の手法なのでしょうか。実際には、そうとも言えません。チャートを見ながら考えましょう。

極端な例の方が分かりやすいので、米ドル/円の月足チャートを使います。

下は、2005年末から2015年にかけての様子です(チャートはFXプライムbyGMOから引用)。左端の赤丸1で、買ったとしましょう。米ドル/円=120円くらいです。

ナンピンの実例(米ドル/円チャート)

買ってから少し円安になったのですが、その後、円高に転換しました。絶対損切りしたくない一方、為替レートが買値に戻るのはいつなのか、分かりません。

そこで、ナンピンを使います。

赤数字2で、追加購入しました。しかし、円高が止まりません。そこで、3、4…と買っていき、とうとう6まで買いました。

最初に買ったレートは120円くらいですが、赤数字6は、80円くらいです。実際にここまで強気に買い続けられる人は、多くないでしょう。

しかし、これを実行できていたら、その後の円安で一気に大成功となります(赤矢印)。

為替レートは、下がったら上がる

これができるのは、為替レートは「下がったら上がる」「上がったら下がる」からです。

下のチャートは、1991年以降のチャートです。

さすがに赤丸の位置で買うと厳しいですが、そうでないなら、買った後に含み損になっても、年単位で待てば円安に復帰してきたことが分かります。

ナンピンの実例(米ドル/円長期チャート)

そして、赤丸の位置で買ってしまったとしても、ナンピンで平均購入レートを引き下げれば、その後の為替レート変動で利食いできます。

すなわち、赤丸で買うと通常は損切りですが、ナンピンを使えば成功可能、ということです。

ナンピンを成功させるための条件

このように、「年単位で見れば、そのうち円安になるから大丈夫」という姿勢でナンピンを繰り返す場合、成功するための条件が2つあります。

  • 自己資金に比べて十分小さな取引数量
  • 通貨ペアの選択

条件1:取引数量

上の例では、米ドル/円=120円という円安水準で買った後、どれだけ円高になっても買い続けています。これができるのは、資金量に比べて取引数量が小さいからです。

どれだけ資金量が大きくても、1回の取引数量が大きいと、どこかで強制ロスカットになります。

逆に言えば、資金量が小さくても、取引数量を十分に小さくすれば、ナンピンで成功できるということです。

そこで、何が何でもロスカットしたくないという場合は、1回の取引数量を十分に小さくしましょう。

条件2:通貨ペア

そして、とても大切なのが、通貨ペアの選択です。ナンピンをする場合、新興国通貨ペアは避けるのが無難です。

具体的には、以下の通貨ペアなどです。

  • トルコリラ/円
  • 南アランド/円
  • メキシコペソ/円

この理由は、下の長期チャートを見ると簡単に分かります(トルコリラ/円)。ひたすら円高になっていて、円安になる気配が見えません。

トルコリラ/円長期チャート

こういう通貨ペアで買い取引を繰り返すと、スワップポイントを考慮しても厳しい結末が待っているかもしれません(何かの拍子に、トレンドが円安になる可能性もありますが)。

ちなみに、1993年以降のチャートで確認しましょう。下の通りです。赤の矢印部分の為替レートを見ますと、9,000になっています。

このチャートを見る限りですが、トルコリラ/円でナンピンをするのは止めた方が良さそうです。

トルコリラ/円超長期チャート(1993年~)

ナンピンとは似て非なるリピート系FX

ちなみに、トラリピやループイフダンなどのリピート系FXについて、ナンピンと同じだと考える場合があるかもしれません。

しかし、トラリピはナンピンとは大きく異なります。

トラリピの基本思想は、下の絵の通りです。円高になるたびに少しずつ買い、円安に転換したら少しずつ売ります。

リピート系注文

ナンピンの場合、ポジション全体の平均値で考えます。

この記事冒頭の例ですと、110円と100円で買いましたので、平均で105円です。為替レートが105円に復帰すればOKです。105円よりも円高で推移すれば、ずっと含み損です。

トラリピの場合は、平均値で考えません。ポジション一つ一つを独立させて考えます。

このため、為替レートが全ポジションの平均値まで上昇する必要はありません。買ったそれぞれのポジションにつき、一定の含み益ができたら利食いします。

よって、平均値より大幅円高でも、円高部分で繰り返し利食いできます。その結果、利食いの合計額を、含み損よりも大きくすることができます。

トラリピの例

含み損が100万円、1回の利食いが1万円の場合、含み損はそのままでも、利食いを100回繰り返せば、トータルで損益はゼロになります。200回利食いすれば、100万円の利益になります。

最終的に円安になれば、もちろん大きな利益を得られます。円安に復帰しなくても、最終的に勝利することができます。

これが、トラリピを始めとするリピート系FXのメリットです。

なお、当サイトでは、リピート系FXの特集記事を掲載しています。興味のある方は、以下のページからどうぞ。

リピート系FXとは

  • この記事の監修者
ゆったり為替

ゆったり為替

兼業トレーダー(2004年FX投資を開始)。書籍・雑誌への寄稿:ラクラク稼ぐFX ループイフダン(共著)、FX月刊誌『FX攻略.com』など

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