紛争地域に囲まれる共和国
トルコの現状を確認しましょう。他の国と同じように、地図を最初にご覧ください。

西はヨーロッパ、東はアジア、南は中東・アフリカ。そして、黒海と地中海を結ぶ海峡を領有しています。戦略的に極めて重要な位置にあることが分かります。
紛争が多い地域に接していることもあり、外交面ではかなり苦労しているだろうことが、地図を見ただけで容易に想像できます。西側に位置しているギリシャと対立することもしばしばです。
物価上昇率が高いけれど、国民の生活は大丈夫?
FXの観点から見ると、トルコリラはスワップポイントが高いことがとても魅力です。日本の預貯金金利がゼロ%近くに張り付いているため、トルコリラのスワップポイントの高さが際立ちます。
しかし、スワップポイントが高いということは、短期金利もかなり高いだろうことが予想できます。そして、短期金利が高ければ、物価上昇率も高そうです。
そこで、トルコの物価上昇率(年率)を調べてグラフにしました。比較するものがあると分かりやすいですから、日本の物価上昇率(総合指数)と一緒にご覧ください。

およそ10年間の物価上昇率です。下の茶色の線が日本、上の青色がトルコです。トルコのほうが、明らかに高いです。日本は基本的にゼロ%あたりで推移しています。
2014年~2015年あたりで日本も上昇していますが、これは消費税引き上げの影響もあるでしょう。
一方で、トルコの物価上昇率は極めて高いです。平均で8%あたりです。100円だった商品が、1年後には108円、2年後には116円、3年後には126円になっているという計算です。
日本でこの事態になったら、大混乱かもしれません。とはいえ、物価上昇率以上に賃金が増えていれば、生活できるでしょう。そこで、トルコの賃金上昇率(年率)を確認しましょう。

概ね10%以上といったところでしょうか。
1か月10万円の収入だった場合、1年後には少なくとも1か月11万円、2年後には少なくとも12万円になっているという計算です。
これだけ通貨価値がコロコロと変わると生活しづらいかもしれませんが、失業していなければ、平均的に見て、物価が高すぎて生活が苦しいということはないようです。
ただし、「失業していなければ」だったり、「平均的に見て」という条件があります。かなり苦しいという人もいるかもしれません。
トルコリラ/円の長期チャートの傾向は?
トルコリラ/円はスワップポイントが高いことで有名ですが、為替レートの動きはどうでしょうか。いくらスワップポイントが高くても、一直線に円高になるような動きだったら買いづらいです。
下のチャートは、セントラル短資FXの「クイックチャート・トレードプラス」からの引用です。

トルコリラ/円を買ってスワップポイントを得ようと考える人から見ると、少々残念な動きかもしれません。全体的に円高傾向です。2007年には100円近くだったのですが、現在は40円くらいです。8年で6割も円高になってしまいました。
しかし、これは2008年のリーマンショックの影響もかなり大きいと予想できます。チャートを見ても、リーマンショックでまっさかさまに円高になった後、なだらかな動きになっています。
今後の為替レート推移も円高傾向でしょうか。それとも反転するでしょうか。これを事前に確実に把握することは困難です。そこで、スワップポイントを得ることを目的にトルコリラ/円を買って長期で保有する場合、この円高傾向についても考慮しましょう。